「やれやれ」
19歳の夏、私は本を読まない人間でした。
小学生ぐらいのころは親に読まされていたエジソンやヘレンケラーの伝記本など読んでいましたが、特に好んで読んでいたわけではありませんでした。
毎日のノルマが課せられ、それが終らない限りゲームが出来ないので仕方なく本を読んでいたのです。
この時期があったからこそ抵抗無く読めたのかもしれませんが
それからの10数年の間に読んだ本は数えるほどしかないと思います。
そんな私が村上春樹を読み始めたのは19歳の夏に短期のバイト先で出会った女性の影響です
夏休み限定で募集をしていたレストランで同時期に入った二代目あゆみちゃん(由来は長くなるので割愛)と呼ばれる二歳年上の女性。
私が休憩時間に入って休憩室に入ると、先に二代目あゆみちゃんが本を読んでいました
「何読んでるんですか?」
「新耳袋って話。知ってる?」
「深夜にテレビやってるやつですか?」
「そう!原作も面白いからよかったら読んでみて」
という流れで本を借りることに
新耳袋は当時深夜枠でテレビ放送されていたホラー系の物語でした
現代版百物語ということで当初は一冊の中に100話の実話を元にしたちょっぴりホラー物語が収録されていたのですが、一晩でそれを読み終わってしまうと怪奇現象が起こったとの報告が多くあったため現在は99話の収録になっているようです
この本を読み、終わったら次の巻を借りるという日々が続きました
それで味を占め、本の話で二代目あゆみちゃんとお近づきになれるチャンスと密かに目論んでいました
ある日の会話で二代目あゆみちゃんが村上春樹ファンであることを知りました
結局連絡先を交換する事もなくバイトの期間が終わっていったのですが、
いきなり何の話だと思われるかもしれませんが、村上春樹を読み返したいなと
今日から一ヶ月間を「第一回やれやれ読書強化習慣」としまして村上春樹の小説を力の限り読みまくる次第です
1973年のピンボールの中にこんな会話があります
「あなたは二十歳の頃何をしてたの?」
「女の子に夢中だったよ」一九六九年、我らが年。
「彼女とはどうなったの?」
「別れたね」
「幸せだった?」
「遠くから見れば」と僕は海老を呑み込みながら言った。「大抵のものは綺麗に見える」
「遠くから見れば 大抵のものは綺麗に見える」
私は今回の日記を書くにあたり19歳夏の日記を読み返して恥ずかしさで死にそうでした
終わります
また書きます