11.26
アフターダーク
「ねえ、僕らの人生は、明るいか暗いかだけで単純に分けられているわけじゃないんだ。そのあいだには陰影という中間地点がある。その陰影の段階を認識し、理解するのが、健全な知性だ。そしてその知性を獲得するには、それなりの時間と労力が必要とされる。君はべつに性格的に暗いわけじゃないと思う」
入口があって出口がある。大抵のものはそんな風にできている。郵便ポスト、電気掃除機、動物園。ソースさし。もちろんそうでないものもある。例えば鼠取り。
「たとえ今日誰が死んだとしても僕たちは悲しまない。僕たちはその分だけ生きてるうちに愛しておくのさ。後で後悔しないようにね。」
「世の中には120万位の対立する考え方があるんだ。いや、もっとたくさんかもしれない。」
同じ1日の同じ繰り返しだった。どこかに折り返しでもつけておかなければ間違えてしまいそうなほどの一日だ。
僕は彼女たちの中にどうしても僕のために用意された何かを見いだすことができなかった。